短歌

ほんのりとキスの湿度を残しつつ小さく手を振り去りゆく君よ


逢いたしと想う心で眠れずに闇夜に浮かぶあなたという星


名も知らぬ学生服着た令嬢よ同じ帰途ゆき恋の生まるる


宮島で打ち上げられる遠花火花束となりて亡き友に届け


天使降り庭にロマンの花咲かせ生きる喜び植えては散りゆく


五月晴れ続くく日差しの優しくて若葉を揺らし初夏の風吹く


春過ぎし葉桜の下ぼんやりと君待つだけの影法師ひとつ


爆音と共に花火は舞い上がり一瞬に終わる夏に似ている  


二人して歩いて残す砂浜の足跡も夏も波に消さるる


寒空の下に寄り添い缶コーヒー愛情に似た温もりを飲む


薫風が頬を掠めていずこゆく?旅しているの夏を探しに


苦しみも悲しい日々もいつの間に思い出となりて薄らいでゆく


雨の中花開かせる紫陽花よ薄暗い梅雨を明るく照らす


幸せを探し求めているよりも生きてることを幸せと思え


帰省して我が家の香り懐かしみ帰る頃には体に染みつき


海超えて君に届かぬ我が想い夢すら見れず寂しい夜かな 


騒がしい雨の週末訪れば外に出れずも君に逢いたし


人生はパズル合わせをするように歳月重ね広がるマップ


病棟に飾られた花に癒されて元気も貰う今日この頃


アルバムを捲るに連れて甦る元恋人の眩しい笑顔


梅薫り春を教える風が吹き陽気に流れるひとときの夢


古代から桜の魅力花びらのひとつひとつは哀愁の気配


肌寒い春雨が降るしとしとと辛い別れの予感漂う


雨が降り悲しみの粒幾千も肩にぽたぽた悲しみの音


想い出が風に吹かれて揺れ動き忘れかけてた幼子に戻る


自転車に乗りし彼女は遠のいて風にほどける髪乱れゆく


リハビリを我が身体が求めてる劣る筋力遅らす努力


「また暇だ」週末なりき呟いて何をしようか悩んで終わる


樹木洗う数限りない雨粒よ初夏映し出す新緑の薫り


「愛してる」その一言がもどかしい面と向かえば頭真っ白


寒い夜暖房よりも暖かい君の温もりほしがる身体


待ち合わせあなたが来るまでの時間胸はドキドキしあわせの音


闇の中月の光に導かれ迷うことなくあなたの胸へ


最近は悪いニュースが多すぎてこの先不安な日本の行方


雨上がり空に浮かんだ虹の橋君と渡るよ「しあわせ」探しに


サヨナラはまた逢うための合言葉寂しくないよまた逢えるから


逢いたいよ今すぐキミに逢いたいよ夢の中ではすぐ逢えるのに


君が好きものすごく好き誰よりも私の気持ち重いですか?


一年は短いものだと思う今師走の風が振り返らせる


大空に描ききれない我が夢はちっぽけなものだと気づかされた日